 |
「出光興産創業者が生涯をかけて集めた名品がズラリ」
皇居のお濠に面した帝劇ビルの9階に位置する「出光美術館」。ここは、出光興産の創業者・出光佐三氏(1885〜1981)が、収集した美術品を基に開館した美術館です。メインコレクションは日本の書画、中国・日本の陶磁器などの東洋古美術ですが、ジョルジュ・ルオーなど洋画作品を見ることもできます。 |
なりたち
出光興産の創業者であり初代館長であった出光佐三氏が、その生涯をかけて集めた美術品を展示する美術館として、千代田区丸の内に1966年開館しました。40周年を機に行われたリニューアルが2007年秋に完了し、エントランス・ミュージアムショップなどが生まれ変わりました。また長年親しまれてきた陶片室を一新。あらたに洋画専用展示室も開設されました。これにより、さらに充実した美術館となったのです。 |
 |
展示室
1〜3の展示室では、テーマを設けて年6〜7回企画展を開催しています。企画展での展示品は主に、日本の絵画や書、中国・日本の陶磁器といった東洋古美術が中心。その中では、テーマに合った貴重な所蔵品の数々を見られます。※写真は2007年秋「没後170年記念 仙香iせんがい)・センガイ・SENGAI ―禅画にあそぶ―」のもの。 |
所蔵品
出光コレクションは、国宝2件、重要文化財52件を含む約1万件があるといいます。気に入ったジャンルの作品を徹底して集めるのが出光佐三氏のパターンで、コレクション第一号でもあった仙高フ作品や交友があった板谷波山の代表作品、約400点にものぼるというジョルジュ・ルオーなどのコレクションは国内外屈指の質と量を誇るそうです。
その後もコレクションの充実を図り、美術館を代表する作品の国宝「伴大納言絵巻」をはじめ、琳派や日本陶磁などが集められていきました。 |
仙香@「指月布袋画賛」 江戸時代 |
国宝 「古筆手鑑 見努世友」 奈良〜室町時代 |
重要文化財 「西行物語絵巻(第四巻・部分)」
画/俵屋宗達 詞書/烏丸光広 寛永7年(1630) |
 板谷波山 「彩磁延寿文花瓶」 昭和11年(1936) |
 重要文化財 「青磁下蕪瓶」 中国・南宋時代 |
 重要文化財・尾形乾山 「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」 江戸時代中期 |
展示室4
もともと仙高フ書画を収集していた出光佐三氏は、ジョルジュ・ルオーの作品に出会った際、特徴的な黒い太い線が仙拷謔ノ通じると感じ、
散逸の危機にあった油彩連作《受難》
を一括購入しました。そんな佐三氏の遺志をついで、ジョルジュ・ルオーの作品常時数点とノルウェー「オスロ市立ムンク美術館」の協力により毎年3点ずつ貸し出してもらっているエドヴァルト・ムンクの作品が見られるスペースとなっています。 |
2007年秋に新設された洋画専門の展示室 |
エドヴァルト・ムンク 「自画像、結婚式の席でII」
1925年 オスロ市立ムンク美術館蔵
© Munch Museum / Munch-Ellingsen Group / BONO, 2007 |
 |
陶片室
陶片(やきもののカケラ)を展示するための展示室です。ここには、アジア諸地域の古窯跡や港湾遺跡などから発見された古陶磁片が陳列されています。中世六古窯、伊万里といった日本各地のものから、朝鮮半島、中国、タイ、エジプトなどさまざまな国と地域の陶片を見られるとあって「陶磁器研究の宝庫」と称されているそうです。また、リニューアルにより展示ケースを一新。完全な姿の美術品と共に陶片を展示するなど、わかりやすい展示コーナーになりました。 |
完形品と共に陶片を展示し、どのようなものの一部なのかを
分かりやすく見せています |
引き出しの中にもさまざまな陶片が。
引き出しは地域や窯ごとに分かれています |
ロビー・茶室「朝夕菴」
1〜4の展示室と陶片室を繋ぐようにあるのが、ロビーと茶室「朝夕菴」。皇居周辺を一望できるロビーには、ゆったりとくつろげる大きめのソファーを配置。また、茶室「朝夕菴」では、季節にあわせた茶道具を展示しています。 |