東京に点在する美術館、博物館、工芸館ほか、文化や自然科学、芸術を観たり、学んだりできるスポットを
実際に訪問取材して、ご紹介するコーナーです。

東京のミュージアムガイド
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多摩エリア 23区エリア 美術館 博物館・その他 公園・庭園

 

国立西洋美術館と建築家ル・コルビュジエ
The National Museum of Western Art & LE CORBUSIER

TEL:03-5777-8600

国立西洋美術館

スポットデータ
SPOT DATA

名称 国立西洋美術館
住所 〒110-0007
東京都台東区上野公園7番7号
TEL 03-5777-8600
(ハローダイヤル)
FAX  
開館時間 9:30〜17:30
(入館は17:00まで)
金曜は9:30〜20:00
(入館は19:30まで)
入園料 常設展観覧料:
一般420円 大学生130円 
企画展観覧料:
展覧会によって異なる
休館日 月曜日・年末年始・2008年1月7日(月)〜3月3日(月)(予定)まで建物改修工事のため全館休館
公式HP http://www.nmwa.go.jp/
その他 無料観覧日(常設展示のみ):
毎月の第2、第4土曜日、文化の日(11月3日)
 
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日本に存在する唯一のコルビシェ建築

国立西洋美術館本館

 

国立西洋美術館本館(1959年完成)はフランス人建築家ル・コルビュジエ(1887~1965年)によって設計された美術館である。コルビュジエの設計した建築及び都市計画が世界遺産の登録候補に挙がっていることから、この西洋美術館本館も彼の建築作品の一つとして世界文化遺産の暫定リストに載る事が今年(2007年9月)決定された。
  西洋美術館本館は日本にある唯一のコルビュジエ建築で、東京に誕生するかもしれない初の世界遺産として注目が集まっている。ここでは、西洋美術館本館の建築にスポットを当ててその魅力を紹介したい。

 まず最初に、この建物を設計したル・コルビュジエについてふれておきたい。コルビュジエは鉄筋コンクリートを使った建築で先駆的な役割を担った建築家で、建築単体から都市計画まで幅広く活躍した。「近代建築の始祖」や「モダニズム建築の巨匠」と呼ばれている建築家である。一言で書くとこうなるのだが、一体何がどう凄いのか主要なキーワードを箇条書きにしながら少し詳しく述べてみよう。
・ 【ドミノシステム】
  西欧では近代までは石やレンガによる組積造が主流だったのに対し、コルビュジエは鉄筋コンクリートという新しい素材を用いる事によって、床、柱、階段のみで構造的に自立する建築システムを考案した。それまでの建築は柱ではなく壁が構造の要だったのである。
・ 【近代建築の5原則】
  「ピロティ」、「屋上庭園」、「自由な平面」、「水平連続窓」、「自由な立面」の5つの要点を近代の建築を成り立たせるための5原則とし、自らの設計の中で実践した。この5原則はドミノシステムによって可能となる空間構成要素なのである。
・ 【モデュロール】
  近代に入り世の中がメートル法(地球規模の寸法体系)に統一されていくのに対し、人間の身体尺度を利用した建築の寸法体系を考案した。鉄筋コンクリート構造は構造の安全性が確保されればどのような建築でも造れる利点がある反面、それまでの積石造の持っていた人間的なスケール感から離れて行く危険性も合わせ持っていた。スケールアウトする建築と人間との寸法関係を紐解く新しい尺度なのである。

 以上コルビュジエの建築的な特徴について紹介したが、西洋美術館本館はこれらの設計思想が散りばめられた建築なのである。つまりコルビュジエの提唱する近代建築を目で見て体験できる建築作品が西洋美術館本館と言う事ができるのだ。では、具体的に建物の鑑賞に出かけてみたい。


ピロティ

「近代建築の5原則」の一つ。美術館の入り口部分の列柱によって支えられた一階の外部空間。人や風が自由に出入りすることのできる場所。このような空間は柱と床(天井)によって建築を支えることができて始めて可能になる。

 

渦巻き状の平面構成

  ピロティを抜けて常設展入口の19世紀ホールに入る。ここは国立西洋美術館本館のちょうど真ん中に位置する場所だ。コルビュジエはこの美術館を四角い渦巻き型の配置に設計した。中心から外周に向かって拡大していく、「成長する美術館」とういアイディアが具現化された平面系なのだ。奥に見えるスロープはコルビュジエの建築によく用いられる手法で、視点の上下移動をゆっくりと楽しむ事ができる。

 

二階展示室

 スロープに従って右回りに進むと二階の展示室に入る。二階は一階の吹き抜けを囲むように回遊式の展示空間になっている。天井の高さが2段階に分かれていて、奥行のある空間が造り出されている。低い方の天井の高さはモデュロールで決められた226cmとなっている(この寸法は成人フランス人男性が手を伸ばした時に届く高さである。天井の高い方の高さはその2倍)。この二段階の天井構成は回遊式の展示空間全体に同じように続き、建築だけを見ていると渦巻きのごとくグルグル回ることになるので、要注意だ。上部の光がさんさんと降り注いでいるガラスの連続窓は当初自然光が屋上から取り入れられるようになっていたようだが、現在は蛍光灯が入っているとのこと。

【自由な平面】

 「近代建築の5原則」の一つ。二階の展示室や、一階のピロティに円形の柱の列柱が見られるが、これは壁ではなく柱によって上階の床を支えることによって平面(間取り)の自由度を増した構造計画である。独立柱は木造の柱と梁の住宅に慣れ親しんだ我々日本人にとっては特に珍しい構造には見えないかもしれないが、石やレンガを積み上げた西欧の建物では「壁」は構造上重要な役割を担っており、「壁」をなくすことは画期的なことであった。正に近代という時代の構造だったのである。構造上主要な壁を柱に置き換えることによって、間取りに自由度が増し、大きな開口部を確保することができるようになったのである。

 バルコニー(写真右) 19世紀ホールの吹抜けに面して突き出したバルコニー。このバルコニーもコルビュジエの建築によく用いられる手法の一つで、床を吹抜けに突き出すことで二階と一階がより複雑に絡み合い豊かな空間を演出している。彫刻を上部から観察できるのも、この空間ならではの鑑賞方法だ。


中三階

  二階の展示室に設けられた中三階に上る階段。一階の吹抜けに設けられたバルコニーのように、二階にも同じような空間の構成が繰り返し造られている。現在は残念ながら中三階に上がることはできないが、積層された空間は上方への期待感が高まる空間構成となっている。


屋上庭園

 「近代建築の5原則」の一つ。当初は西洋美術館にも植物の鉢が置かれた屋上庭園があったそうだが、残念ながらここも現在は入る事ができない。鉄筋コンクリートによって可能になった平らな屋上も、人が活用できる重要な場所だとコルビュジエは考えていた。今では屋上緑化という言葉も一般的に使われるようになったが、勾配屋根しかできなかった時代には屋上を庭園にしてしまおうという発想は夢物語的に聞こえたのではないだろうか。

 駆け足で国立西洋美術館本館の紹介をしてきた。この建物は今でも古さを感じさせない建築デザインなので現代の建築と比較しがちだが、この建物の設計思想が戦前の近代建築の流れを継ぐ物だと解れば、視点は自ずと変わってくるであろう。世界遺産の候補に挙がる所以がそこにあると思うのである。コルビュジエの設計した建築の魅力を少しでも感じ取って頂ける事ができれば幸いである。

今回は特別に当方の担当コラム「建物と街」の範囲を超えて、美術館の紹介をさせていただきました。ル・コルビュジエの建物は建築を学ぶ者にとっては「聖地」のような吸引力があります。私も西洋美術館は何度も訪れていますが、いいものは何回みてもいいものですね。今回も感動しながら取材をさせていただきました。 「モダニズム建築の巨匠」と呼ばれたル・コルビュジエの元には三人の日本の建築家が弟子入りしました。神流川県立近代美術館を設計した坂倉順三、国立西洋美術館の隣の東京文化会館の設計をした前川國男、そして大学セミナーハウスの設計をした吉阪隆正(U研究室)です。三人はコルビュジエの影響を受け、そして日本の現代建築を牽引しました。大学セミナーハウスは多摩(八王子)に現存する名建築の一つなので、機会を見つけて紹介したいと思っています。

~参考文献~ 「ル・コルビュジエ 建築とアート、その創造の軌跡」図録、2007年5月、森美術館 「建築探検マップ」パンフレット、2004年6月、国立西洋美術館
Writer by 酒井哲

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